【NetApp】SnapMirror用ピア設定の解除方法

2023年4月8日

こんにちは、キクです。

以前、本ブログにてSnapMirrorの基本的な設定方法について書かせていただきましたが、最近その設定を解除するという業務を担当しました。
簡単に言えば「以前書いた内容の逆の作業を実施した」ということになります。
なかなか実施することも少ない作業だったので、本記事でシェアできればと思います。

というわけで、今回は『SnapMirror用ピア設定の解除方法』をテーマに書いていきたいと思います!

それでは、よろしくお願いします。

動作環境

本記事の内容は、下記の環境で実施したものになります。
・ONTAP 9.3

注意事項

本記事は僕が経験した内容をもとに記載しておりますが、実行環境や設定内容によっては動作が異なる場合があります。
そのため『参考程度』にお読みいただけますと幸いです。

はじめに

冒頭で「SnapMirror用ピア設定の解除を実施した」ということをお伝えしましたが、本稿ではもう少し具体的に背景を深掘りしていこうと思います。

以下の記事でも書いたのですが、SnapMirrorは基本的に「DR対策」として活用されるケースが多い技術だと思っています。
関連記事:【NetApp】SnapMirrorの基本的な概念と設定方法

SnapMirrorのおさらいになりますが、SnapMirrorでは基本的に「ソースクラスタ」と「ターゲットクラスタ」とでクラスタピアを設定して、最終的にはソース側のボリュームをターゲット側にコピーする形になります

そして、今回「解除」の作業を実施したのは、ソースクラスタを構成する機器がEOSを迎えることになっていたからという背景からとなります。
機器を撤去するにあたり、他との繋がり(設定)を切っておこうということで、その一環としてSnapMirror用ピア設定の解除も実施しました。

詳しい内容は後述しますが、今回実施した内容は以下の通りです。

前提事項

本記事の内容を実施するにあたり、対象クラスタ間でのSnapMirror関係は既に削除されているものとしています。
削除方法については以下の公式情報が参考になるかと思います。
参考:ミラーコピーの削除

1. 事前確認

本稿では、実際にピア設定解除に入る前に、各種設定状態の確認を実施します。

SnapMirror用のぴあ設定には以下の2種類があります。

1. クラスタピア設定
2. SVMピア設定

ソースクラスタとターゲットクラスタの双方でこれらの設定状態を確認していきます。

加えて、今回の作業対象クラスタ以外にもクラスタピアが組まれていることを想定して、SnapMirror実行状況についても確認しておきます。

ソースクラスタ側での確認

1. クラスタピア設定確認

まずはクラスタピア設定状態の確認をします。

::> cluster peer show -instance
[表示結果]

Peer Cluster Name:ターゲットクラスタ名
Remote Intercluster Address:ターゲット側インタークラスタIPアドレス
Availablity of the Remote Cluster:Available
・・・以下略・・・

確認事項

・クラスタピアとして対象ターゲットクラスタが表示されること

2. SVMピア設定確認

続いて、SVMピア設定の確認をしていきます。

::> vserver peer show -instance
[表示結果]

Local Vserver Name:ソースSVM名
Peer Vserver Name:ターゲットSVM名
Peering State:peered
Peering Applications:snapmirror
Peer Cluster Name:ターゲットクラスタ名
Remote Vserver Name:ターゲットSVM名

確認事項

・Local Vserver Nameとして、ソースクラスタ側の対象ピアSVM名が表示されること
・Peer Vserver Nameとして、ターゲットクラスタ側の対象ピアSVM名が表示されること
・Peering Stateが「peerd」と表示されること

3. SnapMirror設定確認

最後に、対象ソースクラスタから対象ターゲットクラスタに対してのSnapMirror関係が存在しないことを確認します。
ここについては、前提事項にもある通り「対象クラスタ間でのSnapMirror関係は削除済み」という体で進めます。

::> snapmirror list-destinations
[表示結果]

This table is currently empty.

確認事項

・SnapMirror関係が存在しないこと

ターゲットクラスタ側での確認

1. クラスタピア設定確認

ソースクラスタ側と同様に、ターゲットクラスタ側でもクラスタピア設定を確認していきます。

::> cluster peer show -instance
[表示結果]

Peer Cluster Name:ソースクラスタ名
Remote Intercluster Address:ソース側インタークラスタIPアドレス
Availablity of the Remote Cluster:Available
・・・以下略・・・

確認事項

・クラスタピアとして対象ソースクラスタが表示されること

なお、ターゲットクラスタ側での確認については、「ソースクラスタ:ターゲットクラスタ = n:1」という構成パターンもあるので、その場合は対象ソースクラスタ以外の情報も表示されます。

2. SVMピア設定確認

続いて、SVMピア設定の確認をしていきます。

::> vserver peer show -instance
[表示結果]

Local Vserver Name:ターゲットSVM名
Peer Vserver Name:ソースSVM名
Peering State:peered
Peering Applications:snapmirror
Peer Cluster Name:ソースクラスタ名
Remote Vserver Name:ソースSVM名

確認事項

・Local Vserver Nameとして、ターゲットクラスタ側の対象ピアSVM名が表示されること
・Peer Vserver Nameとして、ソースクラスタ側の対象ピアSVM名が表示されること
・Peering Stateが「peerd」と表示されること

なお、こちらについても複数のソースクラスタが存在する場合には、対象以外の情報も表示されることに留意しましょう。

3. SnapMirror設定確認

最後に、対象ソースクラスタとの間でSnapMirror関係が存在しないことを確認します。

::> snapmirror show -source-cluster ソースクラスタ名
[表示結果]

There are no entries matching your query.

確認事項

・対象ソースクラスタとのSnapMirror関係が存在しないこと

2. SVMピア設定削除

本稿では、SVMピア設定の削除を実施していきます。

なお、本作業はソースまたはターゲットのどちらかで作業を実施すれば両方から設定が削除されます
ターゲットクラスタ側では複数のソースクラスタと設定を組んでいることもあるので、ソースクラスタ側で作業を実施したほうが安全かと思います。

1. SVMピア設定削除(ソース)

それでは、実際にSVMピア設定を削除していきます。

::> vserver peer delete -vserver ソースSVM -peer-vserver ターゲットSVM

2. SVMピア削除後の確認(ソース)

続いて、SVMピア設定が問題なく削除されたことを確認します。

::> vserver peer show
[表示結果]

There are no Vserver peer relationships.

確認事項

・SVMピア情報が何も表示されないこと

3. SVMピア削除後の確認(ターゲット)

最後に、ターゲットクラスタ側でもSVMピア設定が削除されていることを確認します。

::> vserver peer show
[表示結果]

             Peer          Peer                           Peering             Remote
Vserver      Vserver       State        Peer Cluster      Applications        Vserver
----------   -----------   ----------   ---------------   -----------------   ------------
xx           xx            peered       xx                snapmirror          xx

確認事項

・対象ソースクラスタとのSVMピア情報が表示されないこと
・他のソースクラスタとのSVMピア情報が問題なく表示されること
 ※設定している場合のみ

基本的にはソースクラスタ側でSVMピア削除を実施したのでターゲットクラスタ側からも削除されているはずですが、もし対象ソースクラスタとのSVMピア情報が表示される場合には、ソースクラスタ側と同様に以下のコマンドを実行して削除しましょう。

 ::> vserver peer delete -vserver ターゲットSVM -peer-vserver ソースSVM

3. クラスタピア設定削除

本稿では、いよいよクラスタピア設定の削除を実施していきます。

1. SnapMirror状況の確認(ターゲット)

まずは、設定済みの全SnapMirror関係でのSnapMirror状況を確認しておきます。

これは対象クラスタ間でのクラスタピア設定削除に伴い、他のクラスタピア間でのSnapMirrorに影響がないことを確認するためです。

::> snapmirror show

確認事項

・作業前のSnapMirror状況を確認

2. クラスタピア設定削除(ソース)

それでは、実際にクラスタピア設定を削除していきます。
まずはソースクラスタ側から設定を削除します。

::> cluster peer delete -cluster ターゲットクラスタ名

3. クラスタピア削除後の確認(ソース)

次に、設定削除後の確認をしていきます。

::> cluster peer show
[表示結果]

This table is currently empty.

確認事項

・対象ターゲットクラスタとのクラスタピア情報が何も表示されないこと

4. SnapMirror状況の確認(ターゲット)

ここで、一度SnapMirror状況を確認しておきます。
基本的には何も影響は出ていないはずです。

::> snapmirror show

確認事項

・作業前に確認した状態から特に変わりないこと
 ※SnapMirrorの進捗状況は除く

5. クラスタピア設定削除(ターゲット)

続いて、ターゲットクラスタ側から設定を削除していきます

::> cluster peer delete -cluster ソースクラスタ名

6. クラスタピア削除後の確認(ターゲット)

クラスタピア設定を削除したところで、実際に削除されていることを確認します。

他のクラスタともクラスタピアを組んでいる場合は、その情報は引き続き表示されますが、対象クラスタ間での情報が表示されなければOKです。

::> cluster peer show
[表示結果]

Peer Cluster Name     Cluster Serial Number     Availability     Authentication
-------------------   -----------------------   --------------   ----------------
xx                    xx                        Available        ok

確認事項

・対象ソースクラスタとのクラスタピア情報が表示されないこと
・他のクラスタとのクラスタピア設定が表示されること
 ※設定している場合のみ

7. SnapMirror状況の確認(ターゲット)

最後に、全作業が完了した後のSnapMirror状況を確認します。

::> snapmirror show

確認事項

・作業前に確認した状態から特に変わりないこと
 ※SnapMirrorの進捗状況は除く

おわりに

いかがだったでしょうか。
今回はSnapMirror用のぴあ設定削除についての内容でした。

基本的には構築手順の逆順という流れでしたが、対象クラスタ以外にピアを組んでいる場合には誤って削除しないように注意が必要でした。
とはいえ、作業自体はとてもシンプルだったのではないかと思います。

本記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは!

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