
こんにちは、キクです。
本記事は、今朝(2025年8月20日)僕が気になった「最近のIT関連ニュース記事」について、ざっくり整理していきます。
本記事の内容
記事1:ゲットワークス、「NVIDIA GPU Blackwell B200」搭載サーバーを運用開始
生成AIの需要拡大に対応するため、ゲットワークスは最新GPU「NVIDIA Blackwell B200」を搭載したサーバーの運用を開始した
処理能力と電力効率の両立により、次世代AIインフラの中核を担うとされている
B200搭載サーバーの運用開始
新潟の湯沢GXデータセンターでBlackwell B200サーバーが本格稼働した
- ゲットワークスとGXテクノロジーが共同で運営
- 「NVIDIA GPU B200」を設置・運用開始
- 湯沢GXデータセンターはコンテナ型施設として展開中
H200との比較による性能向上
従来のH200と比べ、B200は大幅なスペック強化がなされている
- 搭載メモリ容量:141GB → 179GB
- メモリ帯域:4.8TB/s → 8TB/s
- 演算性能も向上し、AI学習や推論の処理速度を短縮
- アーキテクチャ刷新により、電力効率も改善
提供サーバースペックと利用形態
高性能なB200搭載サーバーは、柔軟な貸し出し方式に対応している
- GPU:HGX B200 SXM ×8
- CPU:Intel Xeon 6767P(64C/128T)×2
- メモリ:64GB DDR5 ×32枚
- ストレージ:960GB NVMe SSD ×2、7.68TB U.2 NVMe SSD ×8
- 利用形態:1台占有 or GPU1枚単位での共有貸し
- 持ち込み機器による独自の検証環境構築も可能
空冷運用と今後の水冷対応
現行は空冷サーバーだが、水冷サーバーの導入準備も進んでいる
- 現時点では空冷B200サーバーを導入
- 水冷環境も既に整備済み
- 近日中に水冷版B200サーバーの稼働開始予定
まとめ
NVIDIA Blackwell B200の導入により、湯沢GXデータセンターは生成AI分野における計算リソースの強化を実現した
高性能・高効率なB200サーバーは、企業や研究機関に向けた柔軟な検証環境として期待されている
用語メモ
Blackwell B200
NVIDIAの最新世代GPU
H200の後継として登場し、生成AI用途に最適化されている
HGX
NVIDIAが提供するデータセンター向けGPUプラットフォーム
U.2
エンタープライズ向けのNVMe SSD接続インターフェース
湯沢GXデータセンター
新潟県湯沢町に設置されたコンテナ型の次世代型データセンター
ゲットワークス、「NVIDIA GPU Blackwell B200」搭載サーバーを運用開始
記事2:OpenAIの「生成AIブラウザー」が巨大IT企業に与えるインパクト。グーグルChromeは複雑な立場
生成AI技術の進化により、AI企業が独自のブラウザー開発に乗り出す動きが活発化している
OpenAIをはじめ、PerplexityやAnthropicなどが開発を進めている生成AIブラウザーは、従来のWebブラウザーとは異なる次世代のユーザー体験を提供しようとしている
生成AIブラウザーの特徴
従来型の検索を進化させた新しいブラウザーが登場し始めている
- 自然言語の問いかけに応じて情報を取得・要約・提案・実行
- ユーザーの意図を理解し、AIが主導的にサポート
- 対話形式で柔軟な出力(文章、コード、箇条書きなど)に対応
- 過去の利用履歴やフィードバックを活用して継続的に学習・改善
- 従来のブラウザーよりも作業の自動化・効率化が可能
戦略的な重要性
生成AIブラウザーの開発には3つの大きな狙いがある
- 自社でユーザーデータを蓄積し、AIの精度向上につなげる
- 生成AIに適した広告収益モデルを構築する基盤とする
- GoogleやAppleのような既存プラットフォームからの脱却
主要な生成AIブラウザーの動向
各社が異なるアプローチで生成AIブラウザーを開発している
- Chrome:Geminiを組み込む形でAI対応を強化(Google)
- Comet:Perplexityによる生成AIブラウザー、Maxプラン限定提供中
- Edge:MicrosoftがCopilotと連携し生成・要約・検索などに対応
- Brave:LeoというAIアシスタントを搭載、プライバシー保護を重視
市場と競争構造の変化
生成AIブラウザーの登場はChromeの支配的地位にも影響を与えうる
- Google Chromeの世界シェアは約67%以上と圧倒的
- 一方で、独占性や多様な選択肢の欠如が指摘されている
- 生成AIブラウザーはこうした支配構造に変化をもたらす可能性がある
まとめ
生成AIブラウザーは、単なる技術革新にとどまらず、インターネットの主導権をめぐる新たな競争の象徴である
検索の形を再定義し、データ取得、広告モデル、UI/UXまでを自社で最適化しようとする流れは、ブラウザーそのものの在り方を根本から変えつつある
Chromeのような既存勢力にとっては脅威である一方、生成AI企業にとっては巨大ITの枠組みを乗り越えるチャンスでもある
用語メモ
生成AIブラウザー
AIによって自然言語入力をもとに情報検索・要約・提案・実行まで行える次世代ブラウザー
Agentic AI
ユーザーの意図をくみ取り、自律的に課題解決を進めるAI技術
Chromium
Googleが開発したオープンソースのブラウザー基盤で、多くのブラウザー(Chrome、Edge、Braveなど)がこれをベースにしている
UI/UX
ユーザーインターフェース/ユーザー体験
生成AIとブラウザーの統合では重要な差別化要素となる
OpenAIの「生成AIブラウザー」が巨大IT企業に与えるインパクト。グーグルChromeは複雑な立場
記事3:DropboxやXはなぜ「脱クラウド」「オンプレミス回帰」に踏み切ったのか?
近年、クラウドサービスの拡大が進む一方で、一部の企業がコストや運用効率を理由にオンプレミスへの回帰を選択する動きが見られる
DropboxやX(旧Twitter)をはじめとする企業の具体的な事例は、クラウド万能の前提を見直す契機となり得る
オンプレミス回帰の代表例
複数の大手企業がクラウドからオンプレミスへ移行し、明確な成果を上げている
X(旧Twitter)
クラウドから自社データセンターにアプリケーションを移行し、月額コストを60%削減
Dropbox
Amazon S3からオンプレミスへデータを移行し、2年間で7500万ドルのコストを削減
ファイル読み込み性能も向上
37signals(Basecamp)
ベアメタルサーバー導入により、年間コストを320万ドルから60万ドルに削減
数カ月で投資費用を回収
Discord
一部をオンプレミスに移行するハイブリッド戦略で、コストを45%削減
Snapchat
Google Cloudから自社インフラへ移行し、パフォーマンス改善と長期的コスト削減を目指す
予測可能なリソースをオンプレに戻すハイブリッド戦略を採用し、コストとスケーラビリティを両立
LinkPool
AWSとGoogle Cloudを含むマルチクラウドから完全オンプレミスへ移行
コストを90〜95%削減し、災害復旧対策も強化
脱クラウドが検討に値する条件
オンプレミス回帰が有効となるには、以下の条件が必要である
- 需要予測が可能なアプリケーションであること
- インフラ投資に耐えうる財政的余力があること
- 必要な技術的専門知識が社内に備わっていること
まとめ
クラウド一辺倒の時代から、コスト効率や技術要件に応じて最適な運用基盤を選ぶ時代へと移行しつつある
全企業にとってオンプレミス回帰が正解とは限らないが、条件が整えば高い費用対効果をもたらす戦略となる
クラウドの柔軟性とオンプレミスの制御性を比較検討する流れは今後も続くと予想される
用語メモ
オンプレミス回帰
クラウドから自社インフラへの再移行を指す
ハイブリッドクラウド
一部の処理やデータをクラウドとオンプレミスで分担する構成
ベアメタルサーバー
仮想化を使わず、物理サーバーを直接利用する方式
DR(Disaster Recovery)
災害時に業務継続を可能にする復旧戦略
DropboxやXはなぜ「脱クラウド」「オンプレミス回帰」に踏み切ったのか?
記事4:Tellus、衛星データ活用AIモデルの開発や検証に必要なものをワンパッケージで提供
衛星データの重要性が高まる中、AIによる活用を推進する動きも加速している
Tellusは、衛星データ活用におけるAIモデル開発の障壁を下げるため、法人向けクラウドサービス「Tellus AI Playground」を新たに提供開始した
Tellus AI Playgroundの概要
AIモデル開発・検証に必要な要素を一括で提供する法人向けサービスである
- ラベル付き衛星データセット、基盤モデル、高性能GPUをワンパッケージ化
- 学習データに「Tellus Sentinel-2 Features」、GPUに「NVIDIA H100 SXM 80GB」を採用
- 基盤モデルとして「SAM2」や「GeoRSCLIP」などを利用可能
- 税込基本料金は月額97万9000円、最低契約期間は3カ月
- 2026年3月末まで初月無料キャンペーンを実施中
サービス提供の背景
急速に拡大する衛星データとAI活用ニーズへの対応が求められている
- 地球観測衛星は2032年までに2300機を超えると予測
- 1日あたり230PBものデータ取得が見込まれる
- 衛星データ市場は2031年に79億ドル規模に到達見込み
- 日本でも基幹産業となる可能性を有する
開発・検証の障壁
衛星データAIには特有の高い初期障壁が存在する
- データ準備と整備に時間とコストがかかる
- 最適な基盤モデル選定に専門性が求められる
- GPU環境の構築にリソースが必要
Tellusの4つの強み
同社は以下の技術的基盤をもとに課題解決を図っている
- 日本最大級の衛星データ保有プラットフォーム
- 解像度や波長に応じた適切なデータ選定ノウハウ
- 厳選された基盤モデルと転移学習環境の提供
- 高性能GPUの構築・提供実績
まとめ
衛星データを用いたAI開発は今後の宇宙産業を支える重要分野である
Tellus AI Playgroundは、そのハードルを下げる鍵となり得る存在であり、今後の企業や研究機関の活用が期待される
用語メモ
Tellus(テルース)
日本の衛星データプラットフォーム
さくらインターネットが開発運営に関与
Sentinel-2
欧州宇宙機関が運用する地球観測衛星
SAM2
画像セグメンテーションに特化した基盤モデル
GeoRSCLIP
衛星画像向けの視覚言語モデル
転移学習
既存モデルの知識を別タスクに活用する手法
Tellus、衛星データ活用AIモデルの開発や検証に必要なものをワンパッケージで提供
記事5:HDDなき未来を見据える「Pure Storage」の次世代ストレージ構想は何がすごい?
クラウド時代に即したストレージの革新が求められる中、Pure Storageは従来の発想を覆す新たな構想「Enterprise Data Cloud(EDC)」を提示した
インテリジェントな制御基盤「Pure Fusion」を中核に据えた次世代ストレージである
Enterprise Data Cloudの特徴
従来のストレージ概念を脱却し、統合制御とクラウド的運用を可能にする構想である
- ストレージ全体を一元的に管理可能とするコントロールプレーンを実装
- あらゆるストレージ要件に柔軟に対応する共通基盤を提供
- 個別ストレージを意識せずにクラウドのように利用可能
Purityと統一されたデータプレーン
全てを自社開発ソフトウェアで統一し、柔軟な運用を実現している
- Purityはブロック・ファイル・オブジェクトの全ストレージを一元管理
- 基盤はスケーラブルな「キーバリューストア」で構成
- ストレージ種別やファイルサイズに依存しない共通処理を可能とする
全体最適を実現するクラウド的運用
物理構成に縛られず、グローバルで分散したストレージを統合管理する
- 世界中のストレージアレイを1つのデータクラウドとして扱う
- レプリケーションやバックアップなどのポリシーを一括管理
- APIを通じてアプリケーションにポリシー継承も可能
他社との差別化ポイント
他社が部分最適にとどまる中、Pure Storageは全体最適に注力している
- 他社は用途ごとに製品を分化または買収で機能補完
- 結果的に異なるソフトウェアが混在し、一元管理が困難
- Pure Storageは一貫して自社開発により統一的な制御を実現
オールフラッシュの利点
HDDを排し、すべてフラッシュで構成することで柔軟性と高速性を両立している
- 仮想化ストレージの全体統合を可能に
- 従来の“束ねただけ”のクラスタとは異なり、実体のある統合を実現
- ポリシー設定も一元化され、運用ミスや管理工数を大幅削減
まとめ
Pure Storageが提案する「Enterprise Data Cloud」は、ストレージをクラウド的に統合運用するという明確なビジョンに基づいた構想である
統一されたソフトウェア基盤と制御プレーンによって、従来の課題を根本から解決しようとする点にその革新性がある
用語メモ
Pure Storage
米国のオールフラッシュストレージ専業ベンダー
Enterprise Data Cloud(EDC)
Pure Storageが提唱する統合ストレージ構想
Pure Fusion
EDCの中核となる制御基盤
ポリシー制御や自動運用が可能
Purity
Pure Storage製品群に共通するストレージOS
キーバリューストア方式を採用
キーバリューストア
キーと値のペアでデータを管理するデータ構造
高速で柔軟なアクセスが可能
ストレージクラス
バックアップやレプリケーション等の要件を定義するポリシー単位
SAN(Storage Area Network)
複数サーバで共有ストレージを構築する仕組み
HDDなき未来を見据える「Pure Storage」の次世代ストレージ構想は何がすごい?