
こんにちは、キクです。
本記事は、今朝(2025年9月1日)僕が気になった「最近のIT関連ニュース記事」について、ざっくり整理していきます。
本記事の内容
記事1:Broadcom、「VMware Explore 2025」でVCF 9の最新機能などを発表
Broadcomは年次イベント「VMware Explore 2025」にて、VMware Cloud Foundation 9(VCF 9)の進化を披露した
プライベートクラウドの可能性を広げる機能群と企業連携を通じ、単なる仮想化基盤からビジネスを支える統合プラットフォームへの変革が進んでいる
VCF 9の位置付けと戦略的意義
VCF 9は、BroadcomによるVMware買収後の中核的プロダクトとして明確に位置付けられている
- VCF 9は2025年6月に正式リリースされた統合プライベートクラウド基盤
- BroadcomはVCFを「ビジネスプラットフォーム」と再定義
- CEOホック・タン氏は「摩擦の解消」をキーワードに、VCFの優位性を強調
- 今後の製品やサービスはVCF統合が前提となる方向性を示唆
イベントでの主な発表内容
VCF 9を拡張するさまざまな新機能・連携が紹介された
- 「VMware Private AI」がVCFの標準コンポーネントに昇格
- Tanzu Platform 10.3、およびTanzu Data Intelligenceを発表
- vSANにAmazon S3互換のオブジェクトストレージインターフェイスを追加
- セキュリティ強化機能「VCF Cyber Compliance Advanced Service」をリリース(オプション)
- AMDとの連携によりPrivate AIでInstinct MI 350をサポート
- Canonicalとの連携でUbuntu ProおよびChiselled Ubuntuをサポート
- Walmartとのグローバルなオペレーション統合協業を発表
企業ユーザーの評価と導入事例
ライセンス改定の影響がある中で、VCFの価値を評価し導入する企業も現れている
- NTTドコモが「Broadcom Customer Achievement Awards」を受賞
- 導入コスト96%削減、デリバリー時間54%短縮などの成果を達成
- 長年の関係性とVCFの進化を評価し、今後も活用継続の意向を表明
- コスト面の説明を受けた上で納得のうえ導入している例もある
将来展望と課題
VCFの進化は続くが、ユーザー要望とのバランスも問われる
- VCFは開発者・IT管理者・モダン/レガシー環境の橋渡しを狙う
- あらゆるワークロードを統合する次世代プラットフォームとして進化中
- 一方で、基本機能のみを求める声もあり、柔軟な提供形態が求められる
- Broadcom/VMwareが多様なニーズにどう応えるかが今後の焦点
おわりに
VCF 9は、Broadcomの戦略を体現する中核基盤であり、AIやセキュリティ機能の強化、パートナーシップの拡大により、企業ITの未来像を牽引している
今後は一層、ビジネス成果と運用効率の両立を追求するプラットフォームとして期待される
Broadcom、「VMware Explore 2025」でVCF 9の最新機能などを発表
記事2:HPE、エージェント型AIでハイブリッドクラウド運用を変革する「HPE GreenLake Intelligence」
HPEは、統合型ハイブリッドクラウドの運用を根本から変える新戦略として、エージェント型AIを全面に採用した「HPE GreenLake Intelligence」を発表した
AIを活用することで、複雑化するインフラ管理と運用の効率化を目指している
新戦略の全体像
HPEはクラウド運用にAIを組み込み、柔軟で自律的な統合プラットフォームを構築しようとしている
- GreenLakeをAIによる運用支援基盤として再定義
- AIをインフラ、運用、データ、ランタイムの各レイヤに統合
- 「自動運転車」のような運用を比喩的に目指す方針を提示
HPE GreenLake Intelligenceの概要
エージェント型AIOpsにより、ハイブリッドクラウド運用の高度化と効率化を実現する
- AIエージェントが企業の方針やSLAに従って運用を支援
- プロビジョニング時に構成案を提示し、選択するだけで構築が完了
- 運用中の問題も検出・診断・解決を自動支援可能
- 自然言語UI「GreenLake Copilot」により操作性も向上
最初の実装と対象領域
GreenLake Intelligenceはまずネットワーク運用分野から提供が開始される予定である
- 第1弾は「HPE Aruba Networking Central」に搭載
- 600万台のネットワーク機器と30億のエンドポイントからデータ収集
- 15以上のAIエージェントが協調し最適化と障害対応を自動化
- 2025年第3四半期から提供予定
CloudOps Softwareの展開
既存製品を統合し、マルチクラウド・マルチベンダー環境での運用高度化を狙う
- 「Morpheus」「OpsRamp」「Zerto」などを統合
- Dell、NetApp製品との連携も進行
- 既存環境からの移行支援やセグメンテーション機能も提供
- VeeamやCohesityとのバックアップ統合も展開
AIファクトリーの位置づけ
AI導入の全フェーズを支援する基盤として、複数のパターンを用意する
- パイロットから本格導入までを支援する構成
- NVIDIAと共同開発したHPE Private Cloud AIを中核に展開
- 秘匿性の高いデータに対応したSovereign AI factoryも用意
- 75のAIユースケースと26のISVパートナーと連携
次世代ストレージと連携技術
AI処理に最適化されたストレージと統合管理機能を発表した
- 「HPE Alletra MP Storage X10000」が自然言語でのLLM対話を可能に
- Data Intelligence機能でデータにコンテキストを追加
- MCPをネイティブ実装し、AI連携を強化
運用モデルと支援体制
複雑なクラウド運用を8つの観点から標準化・自動化する戦略である
- PlatformOpsやFinOpsなど8領域に対応
- 成熟度モデルを用いて最適な適用・運用を支援
- HPE Services Unified Cloud Managementとして提供
おわりに
HPEはGreenLake Intelligenceを中心に、AIを用いたインフラ運用の抜本的な変革に乗り出した
自律的な運用支援、柔軟なマルチクラウド対応、業種別ソリューションの強化により、ハイブリッドクラウド時代における主導権を狙っている
HPE、エージェント型AIでハイブリッドクラウド運用を変革する「HPE GreenLake Intelligence」
記事3:なぜインドのAIインフラ戦略はデータセンターを超えた視点が必要なのか
インドのAIインフラ戦略には、単なるデータセンターの拡充にとどまらない視点が求められている
農村部や地方の実情を踏まえると、ローカル処理や省エネ対策を含む包括的な設計が不可欠である
インドにおけるAIインフラの現状と課題
爆発的な市場成長と投資は続いているが、基盤整備だけでは不十分である
- AI市場は2027年に約170億ドルへ成長し、年成長率25~35%が見込まれている
- 政府はAI開発に12.5億ドルを投資し、データセンター関連には1000億ドル超の投資が予定されている
- 一方、農村部では通信や電力インフラの未整備が顕著であり、応答遅延や環境負荷の課題も表面化している
生活現場におけるリアルな制約
中央集約型のAIでは、地方の利用者に十分な恩恵を届けられない
- 農家がAIアプリを活用しようとしても、通信不良により効果を得られない場合が多い
- 都市部のデータセンターとのデータ往復には遅延や電力消費が伴う
- データ転送によるセキュリティリスクの増大も見逃せない
分散処理の不可欠性
AI PCやエッジデバイスを活用することで、持続可能かつ包摂的なインフラが実現できる
- AI対応端末によるローカル処理が可能になれば、通信環境の制約を受けずに利用できる
- エッジデバイスは省電力性やリアルタイム処理能力に優れ、過酷な環境下でも動作が安定している
- ユーザーと提供者双方にとって、コスト削減・安全性・利便性のメリットがある
分散型アプローチの役割分担
データセンター、AI PC、エッジ機器はそれぞれ異なる強みを持ち、相互補完的に機能する
- データセンター:大規模モデルの学習や保存、高度分析を担う中枢
- AI PC:開発や推論処理を担う柔軟かつ高性能な汎用端末
- エッジデバイス:現場でリアルタイム処理を行う専用機器であり、低消費電力で過酷な環境にも対応
おわりに
インドがAIによる包摂的社会の実現を目指すなら、データセンター偏重の戦略では限界がある
分散型コンピューティングを取り入れ、ローカル処理可能なAI端末やエッジデバイスを組み合わせた柔軟なインフラ構成が必要である
なぜインドのAIインフラ戦略はデータセンターを超えた視点が必要なのか
記事4:NTTドコビジ、AI/GPUクラスタのDC分散にまた一歩_800Gbps通信で新たな実証に成功
生成AIの普及とともに、GPUクラスタの分散利用ニーズが高まり、NTTドコモビジネスはそれに応える高速データセンター間通信の実証実験を進めている
実験の概要
800Gbpsの光通信とRDMA技術を組み合わせ、大容量データの高速転送を実現した
- 40km離れたDC間で1.6TBを68.8秒で転送
- 独自開発のRDMA転送ツールにより高効率化
- 他方式と比較し、転送時間は最大6分の1に短縮
- CPU使用率は最大5分の1に抑制され、帯域性能は約8倍に向上
GPU over APN構想
IOWN APNを活用したGPUリソースの柔軟な分散活用を目指す取り組み
- 物理制約を超えてGPUを仮想クラスタ化
- 機密データの処理や災害時のリカバリにも応用可能
- 過去の三拠点実証で、単一DC比約1.07倍の性能を確認
- インターネット経由の5.10倍と比較して圧倒的に低遅延
今後の展望
GPU over APNや高速転送技術を、幅広いユースケースへと展開する方針
- AI学習用途に限らず、バックアップやDB処理にも応用
- 2026年度には顧客向けの実証環境提供を計画
- IOWN技術による次世代インフラの具体化が進む
おわりに
NTTドコモビジネスは、GPUクラスタの分散処理を支える通信インフラとしてIOWN APNとRDMA転送の有効性を示した
今後の商用化に向けた拡張や適用範囲の広がりに注目が集まる
用語メモ
RDMA
CPUを介さずにメモリ間でデータ転送する技術
800G-ZR
800Gbps対応の光通信規格
小型・省電力
IOWN APN
オールフォトニクスネットワーク
超低遅延・低消費電力を特長とする通信基盤
GPU over APN
離れたデータセンターにあるGPUを束ねてクラスタ化する構想
NTTドコビジ、AI/GPUクラスタのDC分散にまた一歩 800Gbps通信で新たな実証に成功
記事5:三菱重、ガスタービン生産能力2倍に-データセンターなどで需要増
生成AIや老朽火力の建て替え需要の高まりにより、ガスタービン市場が活性化している
三菱重工業はこれに対応すべく、生産体制の強化を打ち出している
生産能力の倍増計画
急増するガスタービン需要に対応するため、三菱重工は生産能力の大幅な強化を目指している
- 従来は3割増を目標としていたが、倍増へと方針を転換
- 伊藤社長の主導で、2年間で倍増する「目安」を社内目標と設定
- 背景には、生成AIの普及によるデータセンター向け電力需要の急増がある
ガスタービン需要の実態
エネルギー業界全体での構造変化が、需要増加を後押ししている
- 世界の電力需要は2050年までに75%増加との試算
- ウッドマッケンジーによれば、既に製造設備の稼働率は90%に達している
- ガスタービン大手にとっては追い風だが、生産能力が制約要因となり得る状況
慎重な設備投資方針
急激な需要変動への対応として、大型投資を避け、生産性向上に注力している
- 競合他社とは異なり、新工場建設などの大規模投資は行わない方針
- 生産時間短縮など、製造プロセスの効率化を重視
- 過去にも需要の冷え込みや、再エネ重視の逆風を経験してきた経緯がある
中長期的な市場見通し
データセンターだけでなく、老朽火力発電所の建て替えも継続的な需要を支える
- 1990年代以降に建設された火力発電所の更新需要が顕在化
- 世界的に「年間40GW以上」の需要が、少なくとも10年は続くと見込んでいる
- 今後も需要の不確実性を見極めつつ、柔軟な対応が求められる
おわりに
三菱重工はガスタービンの世界的な需要増に対応するため、生産能力の倍増を目指している
ただし、過去の反動減や脱炭素の動向も踏まえ、大規模投資には慎重な姿勢を崩さず、リーンで柔軟な生産体制の維持を重視している
用語メモ
ガスタービン
天然ガスなどを燃料に高温高圧のガスを発生させてタービンを回す発電設備
GEベルノバ
米ゼネラル・エレクトリックのエネルギー関連事業の新会社名
ウッドマッケンジー
エネルギー・資源分野のコンサルティング企業
リーン
無駄を排除した効率的な経営手法を指すビジネス用語
三菱重、ガスタービン生産能力2倍に-データセンターなどで需要増