【ハードウェア】CPUの役割と基礎知識について

2024年7月13日

こんにちは、キクです。

普段プライベートや仕事でなくてはならない存在のPCですが、それがどのように動いているかというハードウェア的な部分についての理解が浅いなと感じることが正直あります。

そこで本記事では、ハードウェアの基礎学習シリーズの一環として『CPU』にフォーカスを当ててまとめていこうと思います。

それでは、よろしくお願いします。

注意事項

本記事は自己学習としてのアウトプットも目的に含まれています。

そのため、本記事には誤った情報が含まれる可能性もありますが、ご了承ください。

はじめに

パソコンの性能を決定づける重要なコンポーネントの一つに「CPU(中央処理装置)」があります。
CPUはパソコンの頭脳と例えられることが多く、その役割や性能はパソコン全体の動作に大きく影響します。

本記事では、ハードウェア初心者の方に向けてCPUの基本的な役割や主要なメーカー、各スペックの見方についてまとめていきます。

CPUの基本的な役割

CPU(中央処理装置)は、コンピュータの中心的な制御装置であり、あらゆる計算処理を実行します。

具体的には、以下のような役割を担っています。

1. 命令の実行

プログラムからの命令を順次取り出し、解釈して実行します。
この命令には、計算、データの移動、条件判断などが含まれます。

2. データの処理

演算装置(ALU)を使用して、算術演算(加算、減算、乗算、除算)や論理演算(AND、OR、NOTなど)を実行します。

3. 制御と調整

コンピュータ全体の動作を制御し、他のハードウェア(メモリ、入出力デバイスなど)との調整を行います。

4. データの移動

メモリからデータを読み取り、必要に応じてデータをメモリに書き戻します。

処理フロー

CPUが実際にどのように処理を行うのか、具体的なフローを以下に示します。

1. 命令の取得(フェッチ

CPUのプログラムカウンタ(PC)が次に実行する命令のアドレスを指し示します。
このアドレスをもとに、メモリから命令を取得します。

2. 命令の解読(デコード

取得した命令を制御ユニット内で解読します。
命令の種類(算術、論理、データ転送、制御命令など)を識別し、適切な処理を準備します。

3. 命令の実行

デコードされた命令に基づいて、演算装置(ALU)やフロートポイントユニット(FPU)で実際の計算やデータ操作を行います。

4. データの読み書き(メモリアクセス

必要に応じて、メモリからデータを読み取ったり、処理結果をメモリに書き込んだりします。

5. 結果の書き戻し(ライトバック

演算結果をレジスタやメモリに書き戻し、次の命令の準備を行います。

参考:Part2 CPUの基本的な動作原理とは

簡単な加算処理のフロー

例えば、「A = B + C」という簡単な加算処理が行われる場合のフローを整理してみます。

処理項目内容
1. フェッチプログラムカウンタが指し示すアドレスから、「A = B + C」という命令をメモリから取得
2. デコード命令を制御ユニット内で解読し、「B」と「C」を加算して結果を「A」に保存するという処理を理解
3. 実行演算装置(ALU)が「B」と「C」の値を加算し、その結果を生成
4. メモリアクセス加算結果を「A」のメモリ位置に書き込む
5. ライトバック結果をメモリやレジスタに保存し、次の命令のフェッチを準備

並列処理とパイプライン処理

現代のCPUは、効率を高めるために「並列処理」や「パイプライン処理」を行います。

1. 並列処理

複数のコアやスレッドを使用して、複数の命令を同時に実行します。
これにより、全体の処理速度が向上します。

2. パイプライン処理

一つの命令を複数のステージに分けて同時に実行します。
例えば、ある命令がデコードされている間に、次の命令がフェッチされる、といった具合です。

CPU性能を決める代表的なスペック項目

CPUを選ぶ際には、スペック(性能)を理解することが重要になります。

以下に、代表的なスペック項目とその意味をまとめます。

1. コア数

CPUの内部にある物理的な処理ユニットの数を示します。
例えば、デュアルコア(2コア)、クアッドコア(4コア)、オクタコア(8コア)などがあります。

コア数が多いほど、同時に複数のタスクを処理できる能力が向上します。

2. スレッド数

スレッドは、CPUが同時に処理できるスレッド(仮想的な処理単位)の数を示します。
スレッド数が多いほど、マルチタスク処理の効率が向上します。

また、ハイパースレッディング技術やSMT(Simultaneous Multithreading)により、1つのコアが複数のスレッドを処理することも可能となっています。

3. クロック周波数(GHz

クロック周波数は、CPUが1秒間に何回の計算を行うかを示す指標です。
一般的には、クロック周波数が高いほど、CPUの処理速度が速いとされています。

ベースクロックとターボブーストクロックの2つの値があり、通常の動作時と高負荷時の最大速度をそれぞれ示します。

4. キャッシュメモリ

CPU内部には、高速なキャッシュメモリが搭載されており、頻繁に使用されるデータを一時的に保存します。
キャッシュメモリの容量が大きいほど、データの読み書き速度が向上し、全体のパフォーマンスが向上します。

5. TDP(熱設計電力

TDPは、CPUが最大負荷で動作する際に発生する熱量を示します。
TDPが高いほど、強力な冷却システムが必要となります。

主要なCPUメーカー

現在、市場で一般的に利用されているCPUは主に以下の2つのメーカーから供給されています。

1. インテル(Intel

インテルは、世界的に有名なCPUメーカーであり、長年にわたって高性能なCPUを提供しています。

代表的なシリーズには、Core i3、i5、i7、i9などがあります。

2. AMD(Advanced Micro Devices

AMDは、インテルの主要な競合メーカーであり、高性能かつコストパフォーマンスに優れたCPUを提供しています。

代表的なシリーズには、Ryzen 3、5、7、9などがあります。

各メーカーの主な特徴

インテル(Intel)

1. 高いシングルコア性能

インテルのCPUは一般的にシングルコア性能が高いとされており、単一のタスクを高速に処理する能力に優れています。
これにより、ゲームやシングルスレッドのアプリケーションでのパフォーマンスが向上します。

2. 高いクロック周波数

インテルのCPUは高いクロック周波数を持つ傾向があり、これにより瞬間的な処理能力が高くなります。

3. 安定性と互換性

インテルは長年にわたり市場をリードしており、その製品は広く利用されています。
そのため、多くのソフトウェアやハードウェアとの互換性が高く、信頼性もあります。

4. 高価格帯

一般的にインテルのCPUは他メーカーである「AMD」の同等製品よりも高価格であることが多いです。

しかし、その分パフォーマンスや信頼性が保証されています。

以下はインテル(Intel)のCPU製品とスペックの一例となります。

製品名コア数スレッド数クロック周波数キャッシュメモリTDU(熱設計電力)
Intel Core i9-13900K24コア(8Pコア + 16Eコア)32ベース:3.0GHz
ターボブースト:5.8GHz
36MB(L3キャッシュ)125W
Intel Core i7-13700K16コア(8Pコア + 8Eコア)24ベース3.4GHz
ターボブースト5.4GHz
30MB(L3キャッシュ)125W
Intel Core i5-13600K14コア(6Pコア + 8Eコア)20ベース3.5GHz
ターボブースト5.1GHz
24MB(L3キャッシュ)125W

PコアとEコアについて

最近のインテルのCPUでは、Pコア(Performanceコア)とEコア(Efficiencyコア)という新しいアーキテクチャが導入されています。

Pコア(Performanceコア)

項目説明
役割高いパフォーマンスを必要とするタスクを処理する
特徴・高クロック周波数で動作し、シングルスレッド性能が非常に高い
・ゲーム、動画編集、3Dレンダリングなどの高負荷な作業に適している
・高い消費電力と発熱がありますが、その分高い処理能力を提供する

Eコア(Efficiencyコア)

項目説明
役割効率的な処理が求められるタスクを処理する
特徴・低クロック周波数で動作し、消費電力が低く、発熱も少ない
・バックグラウンドで動作する軽負荷のタスクや並列処理に適している
・マルチタスク処理の効率を向上させるため、同時に多数の軽いタスクを処理できる

これらの異なる役割を持つ2種類のコアを組み合わせることで、以下のような利点がある。

1. パフォーマンスの最適化

高負荷タスクはPコアで、高効率タスクはEコアで処理することで、全体的なパフォーマンスを最適化します。

2. 電力効率の向上

低負荷のタスクは消費電力の低いEコアで処理されるため、電力効率が向上し、バッテリー寿命が延びます。

3. マルチタスク処理の強化

複数のタスクを同時に処理する能力が向上し、全体的なシステムのレスポンスが良くなります。

AMD

1. 優れたマルチコア性能

AMDのCPUは多くのコアを持つモデルが多く、マルチタスク処理に優れています。

特に、動画編集や3Dレンダリングなどの重いマルチスレッド作業で性能を発揮します。

2. 高いコストパフォーマンス

AMDのCPUは同等の性能を持つインテル製品に比べて価格が安く、コストパフォーマンスに優れています。

予算に対して高い性能を求めるユーザーに適しています。

3. 高効率のアーキテクチャ

AMDのZenアーキテクチャは、省電力性と高効率性に優れており、最新の製品では高い性能と低い消費電力を両立しています。

Zenについて

AMDによって開発されたマイクロアーキテクチャのひとつ。
2017年3月発売のRyzenシリーズのCPUから採用されている。

いくつかの世代が存在し、2024年7月現在ではZen5まで登場している。

参考:Zen(マイクロアーキテクチャ)
参考:AMD"Zen”コアアーキテクチャ

4. 拡張性

AMDのプラットフォームはソケットの互換性が長期間維持されることが多く、将来的なアップグレードがしやすいです。

以下はAMDのCPU製品とスペックの一例となります。

製品名コア数スレッド数クロック周波数キャッシュメモリTDU(熱設計電力)
AMD Ryzen 9 7950X16コア32ベース4.5GHz
ターボブースト5.7GHz
64MB(L3キャッシュ)170W
AMD Ryzen 7 7700X8コア16ベース3.4GHz
ターボブースト5.4GHz
32MB(L3キャッシュ)105W
AMD Ryzen 5 7600X6コア12ベース4.7GHz
ターボブースト5.3GHz
32MB(L3キャッシュ)105W

各メーカーの使い分けのポイント

1. ゲーミング用途

ゲームを主な目的とする場合、特に高リフレッシュレートのモニターを使用する場合は、インテルの高いシングルコア性能が有利になることが多いです。

ただし、最近ではAMDもゲーミング性能が向上しており、コストパフォーマンスを考慮すると選択肢に入ることが多いです。

2. クリエイティブ作業

動画編集や3Dレンダリング、CADなどのマルチスレッドを活用する作業には、AMDの多コアCPUが優れたパフォーマンスを発揮します。
コア数が多いほど、これらのタスクが効率よく処理されます。

3. 日常的な利用

インターネットブラウジングやオフィスソフトの使用など、日常的な利用であれば、どちらのメーカーのCPUでも十分な性能を発揮します。

価格を重視するならAMD、高い信頼性や互換性を重視するならインテルを選ぶと良いでしょう。

4. 予算

予算に制限がある場合、AMDのコストパフォーマンスの高いモデルが適しています。

一方で、予算に余裕がある場合や最高のパフォーマンスを求める場合は、インテルのハイエンドモデルを選択することが考えられます。

おわりに

いかがだったでしょうか。

今回はパソコンにおける頭脳とも言える「CPU」について整理しました。

基本的な役割からスペックの見方、CPUを提供する主要メーカーについてまとめてみましたが、本記事を通して少しでも理解が深まっていれば嬉しいです。

CPUの役割おさらい

  • 命令の取得(フェッチ):プログラムから命令をメモリから取得
  • 命令の解読(デコード):取得した命令を解読し、実行内容を理解
  • 命令の実行:算術論理ユニット(ALU)を使って命令を実行
  • データの読み書き(メモリアクセス):必要に応じてメモリからデータを読み書き
  • 結果の書き戻し(ライトバック):実行結果をレジスタやメモリに保存

本記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは!

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