
こんにちは、キクです。
本記事では、僕が今日(2025年7月3日)気になった「最近のIT関連ニュース記事」について、ざっくり要約して書いていきます。
本記事の内容
記事1:AWSが日本に2兆円投資する理由 大規模イベントで語られた未来の姿
AWSは「AWS Summit Japan 2025」にて、日本市場への長期的投資と生成AIを含む変革支援の方針を明確にした
日本への2兆円超の投資計画
日本市場に2027年までに2兆2600億円を投資する理由が語られた
- 投資対象はクラウドインフラ、生成AI、教育、地域創生まで多岐にわたる
- 東京・大阪のマルチリージョン体制で高可用性と災害時対応を強化
- 教育機関や自治体と協調し、人材と仕組みの育成を進める姿勢を示した
社会課題への貢献事例
AWSは医療やエネルギー分野などでの課題解決にも関与している。
- SUSMEDの治験支援システムで医療DXを推進
- 核融合エネルギー研究への支援など、公共・先端領域での導入が進む
生成AIの導入加速
国内企業の多くが生成AI導入を進めており、AWSも対応を強化している
- 82%の企業が生成AIを導入、うち36%が業務実装済み
- CAIO(Chief AI Officer)を任命した企業も急増中
- 「Amazon Bedrock」「Claude」「Titan」シリーズなどを活用可能
- GPUリソースの柔軟提供で中小企業にも生成AI導入が可能になった
レガシー刷新とDX支援
古いシステムの近代化支援もAWSの重点分野である
- 「AWS Transform」により仕様書なしのシステムも自動解析が可能
- NRIは工数40%削減、三菱電機は生産システム工数を50%削減
- 生成AIは単なるツールでなく業務基盤の変革装置として位置づけられている
ビルダー育成と地域支援
技術者に限らない「ビルダー」支援を通じて、地方にもイノベーションの種をまいている。
- 富山・旭川高専と協定を結び、AI・データサイエンス人材の育成を推進
- 小中学生向け技術イベントや地域課題解決コンテストも開催
- 地域の人材と課題に寄り添った分散型イノベーションを推進する
AWSの未来戦略の本質
今回の発表は技術以上に「変革をどう実現するか」に重点が置かれていた
- インフラ提供者から「社会変革の触媒」へと役割を拡張
- 日本市場に特化した支援体制と文化醸成を通じて継続的な成長を目指す
- 競争力は技術ではなく、活用する意志と環境づくりにかかっているというメッセージが貫かれていた
AWSが日本に2兆円投資する理由 大規模イベントで語られた未来の姿
記事2:なぜ金融システムでは大規模な障害が起きるのか? 金融庁が分析レポート公開
金融庁は近年の金融システム障害を分析し、サイバーリスクへの対応強化を促している
システム障害の多くは人的・ソフトウェア要因
2024年度に報告された約1800件の障害の大半は人為的なミスやソフトウェア不具合によるものである
- 約7割が「ソフトウェア障害」や「管理面・人的要因」によるもの
- 例:ATM停止の原因となったプログラム修正漏れ、設計書の不備、セキュリティソフトの不具合など
- 金融ITの高度化とともに障害の影響も重大化している
サイバー攻撃の巧妙化と対抗策
不正アクセスやマルウェア、ソーシャルエンジニアリングによる被害が続発している
- 暗号資産の流出、なりすましによる顧客資産の盗難など深刻な事案が発生
- 警察庁や内閣サイバーセキュリティセンターと連携し、多層的防御体制を整備
- 攻撃者の手口は高度化し、常に対応強化が求められている
サイバーガイドラインの策定とTLPTの活用
金融庁はガイドラインを通じて、経営層の関与と実効的なセキュリティ対策を求めている
- 新たに「サイバーセキュリティに関するガイドライン」を公表
- TLPT(脅威ベースのペネトレーションテスト)活用による実践的な防御力検証を推進
- 地域金融機関を対象にした実証事業も展開中
クラウド依存に伴う新たな課題
クラウドサービスの普及により、障害リスク管理の重要性が増している
- 特定クラウド製品への依存が業務継続に影響を及ぼす例も報告
- サービス提供者との対話と障害時対応の体制整備が必要不可欠である
事例集による学習と自己責任原則の徹底
障害事例を共有し、金融機関自身の責任で活用する姿勢が求められている
- 2021年~2025年の障害報告をもとに事例集を作成
- 自己責任の原則に基づき、他社事例から学ぶことが期待されている
経営層主導によるガバナンス強化の重要性
金融システムの安定性には、経営層の本気度が大きく関係している
- インシデント予防、影響緩和、業務継続性の3本柱が重要
- ITリスク・サイバーリスクを最重要経営課題と位置付ける必要がある
- ガバナンス、人材育成、外部委託管理の徹底が金融システムの安定に直結する
なぜ金融システムでは大規模な障害が起きるのか? 金融庁が分析レポート公開
記事3:カンタス航空にサイバー攻撃 顧客データに影響
オーストラリアの航空大手カンタス航空がサイバー攻撃を受け、多数の顧客データが漏えいしたと発表した
攻撃の概要と影響対象
攻撃はコールセンター経由で行われ、顧客サービスプラットフォームが標的となった
- 攻撃者はサードパーティのプラットフォームに不正アクセス
- カンタス航空のコールセンター経由での侵入が確認された
- 登録されていたのは約600万人分の顧客データ
漏えいした可能性のある情報
一部の個人情報が漏えいした可能性が高く、調査が継続中である
- 氏名、メールアドレス、電話番号、生年月日、マイレージ会員番号が含まれていた
- クレジットカード番号やパスワード、PINなどの認証情報は影響を受けていない
対策と今後の対応
カンタス航空は被害を最小限に抑えるための対策を進めている
- 政府機関に報告し、サイバーセキュリティ専門家と対応中
- 被害状況の調査と対応策の公表は公式サポートページで継続する予定である
記事4:Sudoに深刻な脆弱性 chroot機能に潜むリスクに要注意
Linuxの権限管理ツール「Sudo」に、root権限を不正取得される深刻な脆弱性が発見された
脆弱性の概要
chrootオプションの不備により、一般ユーザーがroot権限を取得できる恐れがある
- 脆弱性IDは「CVE-2025-32463」
- 発見者はStratascaleのCyber Research Unit(CRU)
- 対象バージョンは Sudo 1.9.14~1.9.17(例:Ubuntu 24.04.1、Fedora 41)
- 旧バージョン(1.8.32以前)は影響を受けない
攻撃の仕組み
信頼されていないパスからの設定ファイル読み込みが問題の本質である
- chroot実行時、攻撃者が用意したパスからライブラリ等を読み込む仕様に起因
- 改ざんされたnsswitch.conf経由で悪意ある共有ライブラリがroot権限で実行される
実証と修正対応
PoCスクリプトでrootシェルの取得が確認されており、開発者は対応済みである
- 一般ユーザーでもroot権限を取得できることが実証された
- Sudo 1.9.17p1以降では該当のchroot機能は廃止されている
- 最新バージョンへのアップデートが推奨される
今後の推奨対応
chroot機能の利用状況把握と迅速なパッチ適用が求められる
- 環境内のchroot使用箇所を洗い出すこと
- Sudoの公式アドバイザリで詳細を確認可能
Sudoに深刻な脆弱性 chroot機能に潜むリスクに要注意
記事5:“米国一強”のAI時代にこそ考えたい、インフラ選びの「第二の視点」とは
日本企業がAI時代において直面するIT文化の違いや、その中で見直すべき技術選定の観点が示されている
日米のIT文化の違い
ITシステムに対する価値観や運用体制の違いが、導入後のトラブルに繋がる可能性がある
- 日本は「高品質・長寿命」、米国は「革新性・スピード」を重視する傾向がある
- 日本ではSIerが仲介するが、米国はユーザー企業が自ら構築・運用を行うことが多い
- ドキュメント文化も異なり、日本は詳細なマニュアルを重視、米国は直感的操作とUX設計を重視
米国製品導入で生じる課題
文化や運用の違いが、日本企業にとって不満や障害となることがある
- 「サポートが手薄」「カスタマイズの自由度が低い」などの不満が日本企業に多い
- 価格やサービス内容の変動、地政学的リスクも無視できない要素
“アジア発”の選択肢の注目
日本と文化的・技術的に親和性の高いアジア圏のITベンダーにも注目が集まっている
- 韓国や台湾の企業は日本と文化や要件が近く、親和性が高い
- ProphetStor(台湾):GPU利用最適化ツール「Federator.ai GPU Booster」を提供
- OKESTRO(韓国):仮想化・クラウド管理ツール、GUIやAIOpsを強みに展開
視野を広げた技術選定の重要性
今後の競争力確保のためには、自社に適した技術を見極める力が不可欠である
- 米国基準にすべて合わせる必要はない
- 複数の選択肢を比較し、自社のニーズに合った技術を見極める視点が重要
- 「売れている」「安い」といった理由よりも、課題解決への適合性を重視すべき
“米国一強”のAI時代にこそ考えたい、インフラ選びの「第二の視点」とは
記事6:「DRAM生産の4割を米国で」 Micronを待ち受ける過酷な競争
Micronが米国内でのDRAM生産強化に向けて大規模投資を表明した背景と、直面する課題を整理する
米国内2000億ドルの投資計画
米国での半導体製造回帰に向けて、Micronは2000億ドルの投資を発表
- アイダホ州・バージニア州・ニューヨーク州に製造・パッケージング施設を整備
- うち500億ドルは研究開発に充当予定
- AI向けHBM生産能力の国内移転も視野
DRAM生産の国内比率を40%に
現状ほぼすべてを海外で製造するDRAMを、今後40%まで米国回帰させる計画
- 実現時期は未定
- 国家安全保障や経済政策が背景に
国内製造における課題
米国での製造には専門人材の不足やコスト高が懸念されている
- ニューヨーク州クレイでは半導体製造の知見が乏しい
- 国際競争力確保のため代替拠点も視野
HBM分野での競争激化
AIに不可欠な高帯域メモリ(HBM)で、SK hynixやSamsungと熾烈な競争が予想される
- Micronは12層HBM4のサンプル出荷を開始
- 他社も米国で先進パッケージング工場を整備中
CHIPS法など政府の後押し
米政府はCHIPS法や税制優遇で国内製造を支援している
- 最大64億ドルの補助金が適用される見通し
- トランプ政権や各州との連携も強化中
関税政策による米国内誘導
米政府は輸入DRAMに25%以上の関税を課す可能性があると指摘されている
- 国内製造を促進するための圧力策
- 輸入依存を減らす狙いも
NVIDIAからの支援表明
Micronの投資に対し、NVIDIAもAIエコシステム強化の観点から支持を表明
- HBM技術の国内強化は次世代AI推進に貢献
- NVIDIAのJensen Huang氏が公式コメントを発表
「DRAM生産の4割を米国で」 Micronを待ち受ける過酷な競争