
こんにちは、キクです。
本記事は、今朝(2025年8月7日)僕が気になった「最近のIT関連ニュース記事」について、ざっくり整理していきます。
本記事の内容
記事1:ダイキン、AIデータセンターの冷却システムを手がける米Dynamic Data Centers Solutions社の買収に基本合意
AIデータセンター向け冷却技術を強化すべく、ダイキンは米DDCSの買収に基本合意した
高効率な冷却ソリューションの拡充により、今後の都市型AIデータセンター市場でのリーダーシップを目指す
買収の概要
米DDCSを100%子会社化する基本合意を発表
- 買収主体はダイキンの米子会社であるDAA(ダイキンアプライドアメリカズ)
- 買収完了は2025年8月下旬を予定
- 買収後に詳細を改めて発表予定
DDCSの技術と強み
個別冷却と最適制御技術を備えた、AI向け冷却ソリューションの先端企業
- サーバーラック単位での独立冷却に対応
- リアルタイムで発熱と電力使用を解析し、自動制御を実現
- 運転データを学習して最適制御を行う設備マネジメント機能を保有
都市型データセンターへの需要
今後のAI普及を見据え、都市部での推論型AIデータセンターが増加見込み
- 従来は郊外型が主流だったが、業務へのAI活用が進むことで都市部ニーズが高まる
- スペースが限られる都市型では、効率的な冷却ソリューションが不可欠
買収によるシナジーと展開方針
既存技術とDDCSの技術を融合し、トータルな冷却ソリューションを提供へ
- DAAの業務用大型空調/制御技術とDDCSの個別冷却技術を統合
- 北米市場を起点に、グローバル展開を本格化
- AIデータセンター冷却の分野でトッププレイヤーを目指す
まとめ
ダイキンは、冷却分野のグローバル競争力を強化すべく、米DDCSの先端技術を取り込むことでAIデータセンター市場への本格参入を果たす
都市型データセンターの需要拡大に対応し、省エネと最適制御を両立する冷却ソリューションを提供することで、世界的なポジション確立を目指す姿勢が鮮明となった
用語メモ
DAA(Daikin Applied Americas)
ダイキン工業の北米空調事業子会社
ラック単位冷却
サーバーラックごとに空調を制御し、局所的に熱を処理する方式
AIデータセンター
AI処理に特化した演算集約型のデータセンター
推論や学習処理で高発熱を伴う
設備マネジメントシステム
設備の稼働データを監視・解析・制御するソリューション
エネルギー効率向上にも貢献
ダイキン、AIデータセンターの冷却システムを手がける米Dynamic Data Centers Solutions社の買収に基本合意
記事2:OpenAI、「GPT-5」を8月8日(金)午前2時発表へ--ChatGPTの性能向上に期待
OpenAIは、次世代基盤モデル「GPT-5」を発表すると見られるイベントを日本時間8月8日午前2時に実施する
GPT-4以来の大規模な刷新となり、AIのさらなる実用化と性能向上が期待される
発表の概要
OpenAIが8月8日午前2時にライブ配信イベントを予定
- 公式Xで「LIVE5TREAM」と表記し、GPT-5発表を示唆
- 前モデル「GPT-4」は2023年に登場
- 今回の発表は基盤モデルの刷新として注目されている
GPT-5への期待
性能面での大幅な進化が期待され、実生活や業務支援での有用性がさらに高まる見込み
- サム・アルトマン氏によると、難解なメールをGPT-5が的確に処理したエピソードがある
- 今後、スマートフォン内で人間以上の知能が動く未来を示唆
- 「最も賢い人」よりも賢いAIが日常的に利用可能になると予想
GPT-4との比較と背景
GPT-4は生成AIの実用性を証明した先代モデル
- 登場以来、企業の業務効率化やレイオフにも影響を与えるなど社会的インパクトを持った
- GPT-5では自然言語理解・生成能力のさらなる向上が期待される
まとめ
OpenAIによるGPT-5の発表は、生成AIの次なる進化を象徴する出来事であり、ビジネス・教育・日常生活のあらゆる分野で大きな影響を与える可能性がある
サム・アルトマン氏のコメントが示すように、AIが人間の知的作業のパートナーとなる未来が目前に迫っている
用語メモ
GPT(Generative Pre-trained Transformer)
OpenAIが開発する自然言語処理AIモデル
GPT-5
GPT-4の次世代モデルで、より高度な推論・対話・生成能力が期待される
サム・アルトマン
OpenAIのCEO
AIの社会的影響に対する発言で注目される存在
基盤モデル(Foundation Model)
多様なタスクに適用可能な大規模汎用AIモデルのこと
OpenAI、「GPT-5」を8月8日(金)午前2時発表へ--ChatGPTの性能向上に期待
記事3:マイクロンのSSDはAIデータパイプラインをフルカバー、世界初PCIe Gen6対応品も
マイクロンは、第9世代NAND技術を搭載したSSDを発表し、AIデータパイプラインの各工程に最適な製品を揃えた
中でもMicron 9650は世界初のPCIe Gen6対応SSDとして注目を集めている
AIデータパイプラインに対応した製品群
AI処理の各段階に応じたSSD製品を展開し、データ処理効率を最大化
- Capture and Ingest:Micron 6600 ION(122TB)、大容量・高密度設計
- Transformation:Micron 7600、低レイテンシ・高効率設計
- Training & Inference:Micron 9650、世界初のPCIe Gen6対応、高帯域設計
Micron 9650の特徴
GPU直結に対応し、AI処理向けに帯域性能を特化
- PCIe Gen6に対応、読み取り28GB/s、書き込み14GB/s
- ランダム読み取り550万IOPS、書き込み90万IOPS
- NVIDIA H100と接続し、最大56GB/sの帯域幅を実証
Micron 6600 IONの特徴
エッジ側データ取得に最適化し、省スペース・省電力を実現
- 122TBの容量、QLC採用により高密度実装を可能に
- 1Uあたり2.5PBの容量密度でHDDや旧SSDを圧倒
- TB/Wは4.9でHDD比37%高効率、省電力効果も高い
Micron 7600の特徴
DB処理に適した高速・省電力SSD
- 1ms未満のレイテンシ、RocksDBでの高負荷処理に強み
- ランダム読み取り速度+21%、99%レイテンシ-59%
- 電力効率+78%と競合を上回る性能を示す
今後の出荷予定
最新製品の市場投入が順次進む見通し
- Micron 9650、7600:既にサンプル出荷中
- Micron 6600 ION(122TB):2025年第3四半期後半
- Micron 6600 ION(245TB):2026年前半
まとめ
マイクロンは、AI処理に求められる高速・大容量・高効率を追求し、データパイプライン全体をカバーするSSD製品群を投入した
PCIe Gen6対応など技術的な先進性も示しており、AIデータセンター市場における存在感を一段と強めている
用語メモ
NAND
不揮発性メモリの一種で、SSDの記憶媒体として使われる
QLC(Quad-Level Cell)
1セルに4ビットを格納できるNANDの方式
高密度だが耐久性はTLCより劣る
PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)
高速通信規格で、Gen6は現行最高世代
AIデータパイプライン
データ収集から推論までのAI処理フロー(Capture → Transform → Train→Infer)を指す
マイクロンのSSDはAIデータパイプラインをフルカバー、世界初PCIe Gen6対応品も
記事4:1年間でイギリスの年間消費量の半分の水が「消える」...AIがもたらす深刻な水不足に備えよ
AIの普及に伴って、データセンターでの水消費が深刻な問題となりつつある
特に冷却用途で大量の水が蒸発し、再利用されずに失われている点に懸念が広がっている
データセンターが引き起こす水不足の懸念
冷却目的で使用される水が大量に蒸発し、水資源の枯渇につながる恐れがある
- AIによる水消費は2027年に英国の年間使用量の半分を超える見通し
- データセンターは59GW相当、1MW級で年間2550万リットルを消費
- 使用された水は再利用されず、地域の水収支から実質的に消失
特に脆弱な地域のリスク
水資源の乏しい地域に建設されるデータセンターが増加中
- 2022年以降に新設されたデータセンターの3分の2は水資源が少ない地域に立地
- 熱波の影響でロンドンのデータセンターがダウンした事例も
新たな冷却技術への期待
湿気を排除しながら冷却を可能にする画期的な方式が登場
- アルミ箔で湿気と乾燥空気を分離し、熱のみを伝える冷却方式を開発
- 英ノーサンブリア大学での試験では、水使用量とエネルギー効率で優位性を確認
- 再生可能エネルギー(太陽光)と併用し、持続可能な運用を実現
冷却技術の構造
直接蒸発冷却の仕組みと、その改善点を活かした新方式
- 熱い空気を水で冷却→再循環という仕組みが基本
- 従来方式では湿気がサーバーを損傷するリスクがあった
- アルミ箔による熱交換で湿気の混入を防ぎ、信頼性を向上
まとめ
AIの発展によりデータセンターの水消費は今後さらに拡大する
冷却技術の転換や設計方針の見直しが急務であり、水不足リスクを抑えるための技術革新と政策対応が求められている
用語メモ
冷却
サーバーは常時稼働し熱を持つため、安定動作のためには冷却が不可欠
チラー
空調用の冷却装置で、通常は水や冷媒を使用する
蒸発冷却
水が蒸発する際に熱を奪う原理を利用した冷却方式
アルミ箔による熱交換
空気の湿度を混ぜずに熱だけを伝える方法
1年間でイギリスの年間消費量の半分の水が「消える」...AIがもたらす深刻な水不足に備えよ
記事5:「リストアしたら中身が○○?」 ランサムウェア暗号化で起きた“怖い話”
ランサムウェア被害において「バックアップがあれば安心」とは限らない
暗号化されたデータが復元できないケース
リストアしたバックアップデータも既に暗号化されていたという落とし穴が存在する
- 自力で暗号解除は現実的に不可能
- 身代金支払いは法的・倫理的リスクが大きく非推奨
- バックアップからの復元に失敗した企業が73.6%に上る(2024年警察庁調査)
- 主な原因は「バックアップデータも暗号化されていた」こと
2つのバックアップ失敗パターン
一見安全に見えるバックアップにも、見落としやすい2つの罠がある
- オリジナルデータが暗号化された後にバックアップされたケース
- 暗号化に気づかず、そのまま暗号化済みデータをバックアップしていたケース
技術的対策の限界
一般に知られるイミュータブルバックアップやエアギャップも万能ではない
- これらの手法では書き換えは防げても、暗号化されたデータ自体の保存は防げない
- 元データがすでに破損または暗号化されていれば、バックアップの意味をなさない
医療機関ガイドラインの対応例
厚労省の指針では以下のような保護手法が推奨されている
- 物理的な取り外しによるバックアップ保存(テープなど)
- ストレージ機能による書き換え禁止設定
まとめ
ランサムウェア対策としてのバックアップは、その中身の健全性も常に確認する必要がある
「形式上のバックアップ」ではなく、「正しく保存されたバックアップ」を維持する体制こそが真の防御手段である
用語メモ
ランサムウェア
感染したデータを暗号化し、解除と引き換えに金銭を要求する攻撃手法
イミュータブルバックアップ
書き換え不可能な形式で保存する手法
エアギャップ
ネットワークから切り離してバックアップを隔離する運用
リストア
バックアップデータからシステムやファイルを復元する作業
「リストアしたら中身が○○?」 ランサムウェア暗号化で起きた“怖い話”