
こんにちは、キクです。
本記事は、今朝(2025年7月31日)僕が気になった「最近のIT関連ニュース記事」について、ざっくり整理していきます。
本記事の内容
記事1:Metaがテキサス州のEnbridgeと600MWのPPAを締結
Metaは再生可能エネルギー活用を進める中、テキサス州でEnbridgeと600MW規模のPPA契約を締結した
MetaとEnbridgeの新たなPPA契約
Metaは自社データセンター向けに再エネ確保を目的とした大規模契約を行った
- Metaは600MWの太陽光発電プロジェクト「Clear Fork」でEnbridgeとPPAを締結
- 発電所は2027年夏に稼働予定で、サンアントニオ近郊に位置
- 発電量はすべてMetaのデータセンター運用に使用
Enbridgeの再エネ事業拡大
Enbridgeは再生可能エネルギー分野へ積極的に投資している
- Clear ForkはEnbridgeにとって天然ガス主体からの多様化の一環
- 同社はジムウェルズ郡で130MWの太陽光プロジェクトも稼働済み
- さらにアビリーン南東に約815MWのSequoia Solarも建設中
Metaの再エネ契約の広がり
Metaはテキサス州を中心に再エネ契約を継続的に拡大している
- 5月にはテキサス州・カンザス州で650MWの太陽光PPAを締結
- Sunraycer Renewablesとは2件のEAPAを結び、計311MWdcの容量を確保
- 契約対象にはMidpoint SolarおよびGaia Solarプロジェクトが含まれる
まとめ
Metaは持続可能なデータセンター運用を目指し、テキサスを中心に大規模な再生可能エネルギー契約を推進している
Enbridgeとの協業は両社のエネルギー戦略における重要な節目であり、再エネ市場の拡大にも寄与している
用語メモ
PPA(Power Purchase Agreement)
電力購入契約
再エネ発電所との長期契約により電力を確保する方式
EAPA(Environmental Attribute Purchase Agreement)
再エネの環境価値を取引する契約
Enbridge
カナダのエネルギー企業
天然ガス事業に強みを持つが再エネにも注力
Clear Fork
600MW規模の太陽光発電プロジェクトでMetaが電力を購入
Sequoia Solar
米国最大級の815MW太陽光発電所として建設中
Metaがテキサス州のEnbridgeと600MWのPPAを締結
記事2:「Google Chrome」に脆弱性、セキュリティアップデートが公開
Google Chromeにおいて深刻度「High」の脆弱性が報告され、最新版で修正された
アップデートの概要
GoogleはChromeの安定版をアップデートし、複数の脆弱性に対応した
- Windows/Mac向けにv138.0.7204.183/.184、Linux向けにv138.0.7204.183を配信中
- 今回のアップデートでは4件の脆弱性を修正
- CVE番号が付与された脆弱性のうち公開されたのは1件のみ
深刻な脆弱性の内容
悪用される前に修正された脆弱性の詳細が公表されている
- CVE-2025-8292:Media StreamにおけるUse after freeの脆弱性
- 深刻度は「High」に分類されているが、悪用報告は現時点で確認されていない
- 他にも内部監査やファジングによって発見された問題を複数修正
ユーザーの対応方法
最新版へのアップデートが推奨されている
- Chromeの設定画面(chrome://settings/help)から手動で更新可能
- 更新後、Chromeの再起動が必要
- Windows版はWindows 10/11に対応、他OS向けにも無償配布中
まとめ
Google Chromeでは定期的なセキュリティ強化が行われており、今回のアップデートでも深刻度の高い脆弱性が修正された
利用者は安全のため、早急なアップデートが推奨される
用語メモ
Use after free
解放済みメモリ領域へのアクセスによって引き起こされる脆弱性
ファジング(Fuzzing)
不正な入力をランダムに与えることで脆弱性を探す手法
chrome://settings/help
Chromeのバージョン確認と更新が可能な内部設定URL
「Google Chrome」に脆弱性、セキュリティアップデートが公開
記事3:楽天、“エージェント型”チャットAI「Rakuten AI」提供開始 25年秋には「楽天市場」にも実装予定
楽天は独自のエージェント型チャットAI「Rakuten AI」の提供を開始し、将来的には楽天市場など各種サービスへの統合を進める方針を明らかにした
Rakuten AIの概要
楽天が開発した「Rakuten AI」は、複数サービスを連携させたユーザー最適化型AI
- 楽天市場などに対応したAI検索・レコメンド機能を搭載
- ユーザーの行動を代理する“エージェント機能”の搭載を今後目指す
- 楽天の各サービスへのアクセスゲートウェイとして活用予定
提供開始の詳細
現在は一部アプリとWebサイトでのβ版提供にとどまる
- 「Rakuten Link」のiOS版および専用Webサイトで提供中
- Android版のRakuten Linkには近日中に実装予定
- Webサイト版では、AI検索・画像生成・翻訳・コーディング支援なども利用可能
- 楽天IDを使用すれば利用制限なし
利用イメージと特徴
対話型インターフェースを通じてニーズに応じた検索や提案が可能
- 例:「86歳のおじいちゃんに食べやすい麺類の土産」→楽天市場から該当ギフトセットを提案
- 対応サービスは楽天市場、楽天ラクマ、楽天ブックス、Rakuten Fashion
今後の展開
今後は楽天の中核サービスへの展開が予定されている
- 2025年秋に楽天市場へ本格実装を予定
- その他の楽天サービスにも順次導入予定
- AIモデルは自社開発+他社モデルを併用(詳細は非公開)
- 旧「Rakuten AIアシスタント」(2024年11月提供開始)の正式版位置づけ
まとめ
楽天は、エージェント型のRakuten AIを軸に自社の複数サービスを横断連携させ、パーソナライズされた体験を強化しようとしている
今後、楽天市場などでの導入によりユーザー利便性の向上が期待される
用語メモ
エージェント型AI
ユーザーの意図を汲み取り、自律的に最適行動を選択・実行するAI設計思想
Rakuten Link
楽天モバイルユーザー向けの通話・メッセージアプリ
楽天ID
楽天サービス共通の会員認証アカウントシステム
β版(ベータ版)
正式提供前のテスト版段階で、機能や仕様は今後変更の可能性がある
楽天、“エージェント型”チャットAI「Rakuten AI」提供開始 25年秋には「楽天市場」にも実装予定
記事4:大阪・関西万博会場の“ゲリラ豪雨”予報にスパコン「富岳」活用 理研など実証実験へ
理化学研究所などが、スパコン「富岳」と次世代気象レーダーを用いて、大阪・関西万博会場周辺のゲリラ豪雨をリアルタイムで予測する実証実験を開始する
実証実験の概要
8月5日から31日まで、ゲリラ豪雨の予測データを30秒ごとに更新し、最大30分先まで予測する
- 会場周辺の2カ所にマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)を設置
- 大容量の観測データをリアルタイムでスパコン「富岳」に取り込み処理
- 理研の天気予報研究サイトやスマホアプリ「3D雨雲ウォッチ」で一般公開
技術的な特徴
複数の先端技術を連携させ、予測の精度と即時性を高める構成
- PFN開発の圧縮配信技術「きゅむろん」でデータ転送を高速化
- 防災科研の高精度3次元雨量推定を活用
- 世界初となる2台のMP-PAWRによる富岳でのリアルタイム予測計算
- 異なる方向からの観測により電波減衰の影響を抑制
- 雨粒の移動速度を2方向から計測し、予測精度を向上
予測データの活用方法
一般ユーザーも予報情報をリアルタイムで確認可能
- 理研のWebページで予測結果を公開
- スマートフォンアプリ「3D雨雲ウォッチ」(iOS/Android)でも閲覧可能
まとめ
理研などによる今回の実証実験は、スパコンと高性能レーダーを組み合わせることで、局所的な豪雨への対応力を高める試みである
大阪・関西万博に向け、天候リスクへの高度な対応手段として注目される
用語メモ
富岳
日本が開発したスーパーコンピュータで、世界トップクラスの性能を持つ
MP-PAWR
高分解能で立体的な気象観測が可能なレーダー
きゅむろん
PFN(Preferred Networks)によるリアルタイムデータ配信用プラットフォーム
3D雨雲ウォッチ
エムティーアイが提供するスマートフォン用気象情報アプリ
大阪・関西万博会場の“ゲリラ豪雨”予報にスパコン「富岳」活用 理研など実証実験へ
記事5:中国へAI半導体の輸出許可 米の譲歩に安保懸念、技術覇権掌握促すとの批判も
米中貿易協議の一環として、米国が中国へのAI半導体輸出を容認したことに対し、安全保障や技術覇権の観点から懸念の声が上がっている
米中協議の背景と合意内容
米中は互いに輸出制限や関税の見直しを協議し、一部合意に至った
- 中国はレアアース輸出の再開を決定
- 米国は半導体の対中輸出許可に踏み切った
- レアアースはモーターや電池などの重要素材で、中国が供給の多くを握る
AI半導体H20の輸出許可
米NVIDIAがAI向け半導体「H20」の中国向け輸出を許可された
- H20は中国IT大手(ByteDanceなど)が発注
- 中国AI企業「DeepSeek」がNVIDIA製半導体を入手していた疑いもあり、懸念が再燃
- バイデン政権時代からH20は規制対象だった
批判と安全保障上の懸念
専門家らは輸出許可が米国の優位性を脅かすと指摘
- 元政府高官や専門家20人が政府に懸念書簡を提出
- 「経済的、軍事的優位性を損なう」と強く批判
- 商務省は米中首脳会談に向け、厳しい制裁を控えるよう政権から指示されたと報道
政権内の見解の違い
米政権内では対応をめぐって意見が分かれている
- NEC委員長は「輸出停止すれば中国は独自技術を進化させる」として許可を擁護
- 対中強硬策が超党派で支持される中、譲歩への反発が広がる可能性あり
まとめ
米国によるAI半導体の対中輸出容認は、一時的な貿易合意のための譲歩と見なされ、安全保障や技術覇権の観点から重大なリスクを伴うとの批判が強まっている
用語メモ
AI半導体H20
NVIDIA製のAI処理向け半導体
ByteDance
TikTokを運営する中国の大手IT企業
DeepSeek
中国の新興AI企業で、高性能モデルを開発
NEC(国家経済会議)
米政権の経済政策を調整する機関
中国へAI半導体の輸出許可 米の譲歩に安保懸念、技術覇権掌握促すとの批判も
記事6:復活の理由は「Wi-Fi 7」、それとも「Wi-Fi 6E」? 無線LAN市場が急成長
企業向け無線LAN市場はパンデミックから回復し、Wi-Fi 6EやWi-Fi 7の普及が成長をけん引している
IDCの最新レポートから、地域別・ベンダー別の動向が明らかとなった
Wi-Fi新規格が成長を後押し
2025年第1四半期は前年同期比で10.6%成長し、市場規模は23億ドルに到達した
- Wi-Fi 6E対応機器の売上が従属型アクセスポイント市場の31.9%を占める(前年同期27.7%)
- Wi-Fi 7対応機器は11.8%(前年同期10.2%)と緩やかに拡大
- Wi-Fi 6Eは2.4GHz/5GHzに加えて6GHz帯も利用可能な次世代規格
地域別の動向
北米が市場成長をけん引し、中国の低迷がAPAC全体に影響している
- 北米・中南米は15.2%増、うち米国は21%の成長
- EMEAは11%の成長
- APACは1%増にとどまり、中国は4.2%のマイナス成長
主要ベンダー別のシェア
Ciscoが圧倒的首位を維持し、Ubiquitiが急成長を遂げている
- Cisco:39.5%シェア(9億450万ドル、前年比4.6%増)
- Aruba Networks:15.9%(3億6390万ドル、前年比10.7%増)
- Ubiquiti:11.7%(2億6740万ドル、前年比50.9%増)
- Huawei Technologies:5.4%(1億2410万ドル、前年比10.7%減)
- Juniper Networks:5.3%(1億2090万ドル、前年比21.9%増)
まとめ
無線LAN市場は安定成長期に入り、Wi-Fi 6EやWi-Fi 7などの新規格が拡大を後押ししている
Ciscoの独走が続く中で、Ubiquitiなどの成長企業も存在感を増しており、今後の競争環境にも注目が集まる
用語メモ
Wi-Fi 6E
Wi-Fi 6に6GHz帯の周波数が加わった新規格
従属型アクセスポイント
無線LANコントローラーとの連携を前提とするタイプ
IDC
米国のIT市場調査会社
四半期ごとに市場動向レポートを公開
復活の理由は「Wi-Fi 7」、それとも「Wi-Fi 6E」? 無線LAN市場が急成長